仕 事/Works

深草 H邸

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用途:専用住宅
場所:京都府京都市
構造:木造伝統工法2階建
改修面積:主屋 280.05㎡

明治40年頃築の京町家主屋の全面改修工事です。

主屋は間口6.5間、奥行6間の三列3室型の総二階建で、大屋根は煙出しのある風切り丸二列の瓦葺きの平入り、妻側の外壁と軒天は漆喰の塗籠となっています。一階部分には大戸、くぐり戸、出格子には二本子持ちの通し格子、駒寄せ、二階部分には虫籠窓などの町家らしい意匠がほぼオリジナルの形で残っていました。内部も、座敷の造作をはじめ、通り庭のおくどさん、井戸、煤だらけの火袋のダイナミックな架構等、当時の生活が偲ばれました。

しかし近年では、この大きな主屋は生活の場としてほとんど使われることがなく、ご家族5人はほとんどを離れで過ごされていましが、「主屋で家族そろって現代的な快適な生活をしたい。」というご家族の強いご要望で、大型の町家では珍しい現代的要素を積極的に取り入れた住宅としての改修計画が始まりました。計画するあたって、この素晴らしい主屋の伝統的意匠をどこまで改修するのか大変悩みましたが、次代の改修工事に備えて復元が可能な工事とすることと、ご家族がこの先もずっとこの主屋で、笑顔が絶えない円満な生活を送られることを願って以下のポイントを押えて計画することとなりました。

  1. 限界耐力計算に基づく耐震補強
  2. 通り景観に配慮した外観意匠の保存
  3. 下記の方針に基づく一階の内観意匠の改修
    【一列目(通り庭)】
     現代的な生活スタイルと設備を取り入れ、一部オマージュとして伝統的意匠と構造美を保存。
    【二列目(だいどこ等)】
     伝統的意匠と構造美を保存し、一部現代的な生活スタイルを取り入れる。
    【三列目(座敷等)】
     縁側を通して見る奥庭の景色を保存しつつ、完全に伝統的意匠を保存する。
  4. 二階の内観意匠は、若い世代の生活スタイルを重視する

一年半後、主屋はご家族の生活の場として見事によみがえりました。

なおこの計画は、京都市の京都型耐震リフォーム支援補助金、指定京町家改修補助金を受けています。